椿姫(ラ・トラヴィアータ)を初めて観て ── 森野美咲ヴィオレッタとの出会い
先日、人生で初めてオペラを“ライブ”で観に行きました。舞台の美しさ、音楽と演技の一体感に胸が震え、忘れられない体験になりました。しかも、これまで何度もコンサートで聴いてきたソプラノ歌手・森野美咲さんが主役ヴィオレッタを務めるとのこと。期待と緊張を胸に、新国立劇場オペラパレスへ──ヴェルディ作曲「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」の3日目の公演でした。
椿姫とはどんな物語?
『椿姫』(La Traviata)は1853年にヴェルディが作曲したオペラ。原題は「堕落した女」を意味し、社交界と人間関係の中で愛と犠牲を描いた名作です。
- ヴィオレッタ:パリの社交界で名を馳せた高級娼婦。自由を楽しんでいたが、アルフレードとの出会いで真実の愛を知る。
- アルフレード・ジェルモン:純粋な愛を貫こうとする青年貴族。
- ジェルモン:アルフレードの父。家の名誉を守るために二人を引き離そうとする。
名曲「乾杯の歌」をはじめ、数々のアリアや合唱が物語を彩り、観客を引き込みます。
今回の公演について
今回の舞台は藤原歌劇団による上演で、粟國淳演出の2019年版再演。指揮は阿部加奈子さん、オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団でした。上演はイタリア語原語+日本語字幕付き。舞台美術は細部まで美しく、観る人を別世界へと誘ってくれました。
観劇レビュー:感動の瞬間
第1幕 ── 社交界の華やかさ
幕が開いた瞬間、シャンデリアや衣装の豪華さに圧倒されました。森野美咲さんのヴィオレッタは声に透明感があり、華やかさと孤独感を同時に感じさせる存在感でした。
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第2幕 ── 葛藤と別れ
アルフレードとの愛と、父ジェルモンからの圧力。森野さんの声と表情からは、犠牲を受け入れる苦悩が伝わり、客席全体が静まり返る瞬間もありました。
第3幕 ── 絶望と希望の狭間
病に苦しみながらも最後まで愛を貫こうとするヴィオレッタ。森野さんの声はさらに深みを増し、観客の胸に長い余韻を残しました。ラストの静寂とスタンディングオベーション──鳥肌が立ちました。
初オペラ体験での発見
クラシックコンサートに行き慣れていた私は、オペラ独特の“観客の参加”に驚きました。アリアが終わるたびに拍手や「ブラボー!」の声が飛ぶのです。中には、まるで「ブラボー担当?」と思うほど絶妙なタイミングで掛け声をする人もいて、歌舞伎の「大向こう」や相撲の掛け声を思わせました。観客も舞台をつくる一部なのだと感じました。
また、舞台美術の豪華さにも感動。私は1階前方に座ったので歌手の表情がよく見えましたが、オーケストラピットは見えず少し残念。次回は2階席からピットを見下ろすのも良さそうだと感じました。
プログラムと字幕、そして対訳本
開演前には公式プログラム(1,500円)を求める長蛇の列ができていました。皆さん、観劇中にプログラムを開いて物語や登場人物を確認していて、オペラならではの楽しみ方を学びました。
字幕は日本語で、とても上手に要約されていました。逐語訳ではありませんが、詩情があり、流れを理解するには十分。ただ観ているうちに「もっと細かな歌詞や台詞を知りたい」という欲が湧いてきました。調べてみると、市販の対訳本がありました。
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まとめ ── また観たいと思った理由
初めてのオペラ体験は、新鮮な驚きと学びの連続でした。観客が声を上げる文化、舞台美術の美しさ、字幕付き原語上演の深み。森野美咲さんのヴィオレッタは、そのすべてを輝かせる存在でした。
「オペラは敷居が高い」と思う方にも、この椿姫はおすすめです。音楽・演技・舞台美術のすべてが一体となった極上の舞台体験──一度観たらまた来たくなる理由が、ここにあります。
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